概要
ペスト菌(Yersinia pestis)による重篤な細菌感染症で、ノミ咬傷や飛沫で伝播します。歴史的に「黒死病」として知られます。
症状
症状 | 頻度 | 重症度 | 発症 |
|---|---|---|---|
| 発熱 | 95% | 中等度 | 初期 |
| リンパ節腫脹 | 85% | 重度 | 初期 |
| 悪寒 | 85% | 軽度 | 初期 |
| 頭痛 | 80% | 中等度 | 初期 |
| 全身倦怠感 | 80% | 軽度 | 初期 |
| 筋肉痛 | 55% | 軽度 | 初期 |
| 食欲不振 | 60% | 軽度 | 初期 |
| 喀血 | 5% | 重度 | ピーク期 |
| 高熱 | 65% | 中等度 | ピーク期 |
| 皮下出血 | 12% | 中等度 | ピーク期 |
| 胸部圧迫感 | 6% | 中等度 | ピーク期 |
| 咳 | 15% | 中等度 | ピーク期 |
| 肝腫大 | 20% | 軽度 | ピーク期 |
| 点状出血 | 15% | 中等度 | ピーク期 |
| 息切れ | 8% | 重度 | ピーク期 |
| 脾腫 | 15% | 軽度 | ピーク期 |
| 頻脈 | 50% | 中等度 | ピーク期 |
| 腹痛 | 25% | 軽度 | ピーク期 |
| 嘔吐 | 35% | 軽度 | ピーク期 |
| 下痢 | 15% | 軽度 | ピーク期 |
| 低血圧 | 25% | 重度 | 後期 |
| 錯乱 | 10% | 重度 | 後期 |
| 倦怠感 | 70% | 軽度 | 全期間 |
| 吐き気 | 45% | 軽度 | 全期間 |
感染経路
概要
ペストは、グラム陰性通性嫌気性桿菌のYersinia pestisにより引き起こされる人獣共通感染症である。齧歯類(主にネズミ)を自然宿主とし、感染したノミの刺咬、感染動物との直接接触、または飛沫感染によりヒトに伝播する。
ペストは歴史上最も壊滅的なパンデミックを引き起こした疾患であり、6世紀のユスティニアヌスのペスト、14世紀の黒死病(ヨーロッパ人口の約3分の1が死亡)、19世紀末の第三次パンデミックが知られている。
主な臨床病型は腺ペスト(最も一般的、リンパ節腫脹が特徴)、敗血症ペスト(血流感染)、肺ペスト(肺感染、ヒト-ヒト飛沫伝播が可能で最も致死的)の3つである。
WHOには年間約1,000〜2,000例が報告されているが、実際の数はこれを上回ると推定される。主な常在地域はマダガスカル、コンゴ民主共和国、ペルーで、世界の症例の大部分を占める。未治療の場合のCFRは腺ペストで30〜60%、肺ペスト・敗血症ペストではほぼ100%に達する。
概要
臨床概要
ペストはWHOの国際保健規則(IHR)に基づく届出義務のある疾患であり、潜在的な生物兵器としても分類されている。
重要な臨床事実:
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病原体: Yersinia pestis(腸内細菌科)
-
伝播: 感染ノミの刺咬(腺ペスト)、感染動物との接触(敗血症ペスト)、飛沫吸入(肺ペスト)
-
潜伏期間: 腺ペスト2〜6日、肺ペスト1〜3日
-
CFR(未治療): 腺ペスト30〜60%、肺ペスト・敗血症ペストほぼ100%
-
CFR(治療あり): 適切な抗菌薬治療で10%未満に低下
現在の常在地域:
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アフリカ: マダガスカル(世界最多)、コンゴ民主共和国、タンザニア、ウガンダ
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アジア: 中国西部、モンゴル、ミャンマー
-
南北アメリカ: ペルー、米国西部(年間数例)
公衆衛生上の重要性:
ペストはバイオテロに使用される可能性のあるカテゴリーAの病原体に分類されており、肺ペストのアウトブレイクは国際的な公衆衛生上の緊急事態と見なされる。2017年のマダガスカルでは2,400例以上の肺ペスト流行が発生した。早期の抗菌薬治療が生存に不可欠である。
緊急兆候
直ちに医療機関を受診すべき緊急兆候(特にペスト常在地域への渡航歴がある場合):
腺ペストの緊急兆候:
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急性の有痛性リンパ節腫脹を伴う高熱(齧歯類・ノミへの曝露後)
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リンパ節の急速な増大と周囲組織の炎症
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全身状態の急速な悪化
敗血症・肺ペストの緊急兆候:
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敗血症性ショック兆候 — 低血圧、頻脈、意識障害
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皮膚の紫斑・壊疽性変化 — DICを示唆
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急速に進行する呼吸困難と咳嗽
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血痰 — 肺ペストを強く示唆
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多臓器不全の徴候(乏尿、黄疸、出血傾向)
重要:
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肺ペストは24〜72時間以内に治療を開始しなければほぼ確実に致死的
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腺ペストも適切な治療なしでは24時間以内に敗血症ペストへ進行し得る
-
ペスト疑い症例は直ちに隔離し、飛沫予防策を講じるべきである
-
抗菌薬投与は診断確認を待たずに直ちに開始すべきである
詳細な症状
最も一般的な兆候と症状
症状の特徴
ペストの臨床像は病型により異なる。
腺ペスト(最も一般的、約80〜90%):
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感染ノミ刺咬後2〜6日で急性発症
-
突然の高熱(38.5〜40°C)、悪寒、頭痛、極度の倦怠感
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刺咬部位近傍のリンパ節の有痛性腫脹(横痃:bubo) — 通常鼠径部、腋窩、または頚部
-
横痃は典型的には直径1〜10cmで圧痛が強く、周囲の浮腫を伴う
-
悪心、嘔吐、腹痛を伴うことあり
敗血症ペスト:
-
横痃を伴わない突然の高熱、悪寒、極度の倦怠感
-
急速な全身状態悪化、敗血症性ショック
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播種性血管内凝固(DIC) — 皮膚の紫斑、壊疽(「黒死病」の名の由来)
-
腹痛、下痢、悪心、嘔吐
-
多臓器不全への急速な進行
肺ペスト(最も致死的):
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潜伏期間はわずか1〜3日
-
急性の発熱、咳嗽、呼吸困難、胸痛
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血痰(水様性から泡沫状・血性へ急速に進行)
-
急速に進行するチアノーゼ、呼吸不全、ショック
-
ヒト-ヒト飛沫伝播が可能(唯一の病型)
症状を知ることは、迅速な対応への第一歩です。
病気の経過
疾患の経過
腺ペスト:
- 曝露: 感染ノミの刺咬、または感染動物との直接接触
- 潜伏期間(2〜6日): Y. pestisが局所リンパ節に移行し増殖
- 急性発症: 突然の高熱、悪寒戦慄、頭痛、横痃(有痛性リンパ節腫脹)の出現
- 進行期(2〜5日目): 横痃が増大し圧痛が増強。菌血症が発生し全身状態が悪化
- 転帰(治療あり): 48〜72時間で解熱開始。横痃は数週間で消退。治療なしでは敗血症ペストへの進行リスク
敗血症ペスト:
- 腺ペストからの進行、または一次性敗血症として発症
- 高熱、悪寒、低血圧、頻脈の急速な進行
- DIC → 皮膚紫斑、壊疽、多臓器不全
- 未治療では24〜48時間で致死的
肺ペスト:
- 曝露: 肺ペスト患者からの飛沫吸入、または腺/敗血症ペストからの血行性播種
- 潜伏期間(1〜3日): 極めて短い
- 初期(1日目): 急性発熱、悪寒、頭痛
- 肺炎期(2日目): 咳嗽の急速な悪化、呼吸困難、血痰
- 進行期(3日目〜): 呼吸不全、ショック。未治療では発症3〜5日で致死的
診断
この病気の特定方法
診断
ペストの診断は臨床的疑い、疫学的リンク、および検査室確認の組み合わせで行う。常在地域での急性のリンパ節腫脹を伴う発熱は、ペストが除外されるまでペストとして扱うべきである。
検査室診断法:
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グラム染色と培養: 横痃穿刺液、血液、喀痰からのY. pestisの分離。培養は確定診断のゴールドスタンダードだが結果に24〜48時間を要する
-
迅速抗原検出(F1抗原RDT): 横痃穿刺液に対して15分で結果が得られるイムノクロマトグラフィー検査。感度90%以上
-
PCR: Y. pestis特異的遺伝子(pla, caf1)の検出。高い感度・特異度。数時間で結果
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直接蛍光抗体検査(DFA): 特異度の高い迅速確認検査
検体採取:
-
横痃穿刺液(腺ペスト)
-
血液培養(全病型で推奨)
-
喀痰(肺ペスト)
-
髄液(髄膜炎が疑われる場合)
画像診断:
- 胸部X線/CT:肺ペストでは急速に進行する肺炎像(浸潤影、胸水)
重要: 検体の取り扱いにはバイオセーフティレベル3(BSL-3)の設備が必要。診断確認を待たずに直ちに経験的抗菌薬治療を開始すべきである。
治療
利用可能な治療法
治療
ペストは早期の適切な抗菌薬治療により高い治癒率が得られるが、治療の遅れは致死的である。症状発症後24時間以内の治療開始が推奨される。
第一選択薬:
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ゲンタマイシン: 5 mg/kg/日を1日1回IV/IM、10日間。WHOが推奨する第一選択薬
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ストレプトマイシン: 15 mg/kg IM 1日2回、10日間。古典的な標準治療だが毒性と入手性の問題あり
代替薬:
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ドキシサイクリン: 100 mg 1日2回、10〜14日間。軽症腺ペストに使用可能
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シプロフロキサシン: 400 mg IV 1日2回または500 mg経口1日2回、10〜14日間
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クロラムフェニコール: 50 mg/kg/日 IV、ペスト性髄膜炎に特に有用(良好なCNS移行性)
支持療法:
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輸液蘇生と血行動態サポート(敗血症性ショックの場合)
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DICの管理
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人工呼吸管理(肺ペスト・ARDSの場合)
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横痃の外科的ドレナージは通常不要(抗菌薬で消退)
感染管理:
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肺ペスト患者は厳格な飛沫隔離を要する
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標準予防策 + 飛沫予防策
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接触者の曝露後予防(ドキシサイクリンまたはシプロフロキサシンを7日間)
注意: CFRは適切な早期治療により10%未満に低下する。
ほとんどの症例は早期診断で効果的に治療されます。
予防の詳細
自分を守る方法
予防戦略
現在、一般使用が推奨されるヒト用ペストワクチンは存在しない(以前の不活化ワクチンは製造中止。新規ワクチン候補が開発中)。予防はノミ刺咬の回避と齧歯類との接触防止が中心である。
個人防護対策:
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DEET含有防虫剤を皮膚と衣服に使用
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ペルメトリン処理済み衣服の着用
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齧歯類の巣穴や死骸への直接接触を避ける
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野生動物(特にプレーリードッグ、リス)との接触を避ける
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犬や猫のノミ防除を徹底
公衆衛生対策:
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齧歯類の防除(家屋内外の駆除、食料・ゴミの適切な管理)
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サーベイランス(齧歯類の大量死の監視)
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肺ペスト患者の接触者に対する曝露後予防(ドキシサイクリン100 mg 1日2回×7日間)
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アウトブレイク時の迅速な症例探索と治療
肺ペスト固有の対策:
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患者の厳格な飛沫隔離
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医療従事者はN95マスク、ゴーグル、ガウン、手袋を着用
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接触者の7日間の監視(肺ペストの最長潜伏期間)
準備が最善の防御です。
渡航アドバイス
旅行者へのアドバイス
ペストのリスクは一般的な旅行者にとって非常に低いが、常在地域の農村部を訪れる場合は認識すべきである。
常在地域:
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マダガスカル: 世界最多の症例数。8〜11月にピーク。2017年には2,400例以上の大流行
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コンゴ民主共和国: イトゥリ州を中心に年間数百例
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ペルー: アンデス山地の農村部
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米国西部: 年間数例。ニューメキシコ、アリゾナ、コロラド、カリフォルニア
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中国西部・モンゴル: 散発例(マーモットとの接触に関連)
渡航前:
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ワクチンや予防薬は推奨されていない
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防虫剤とペルメトリン処理済み衣服を準備
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常在地域で農村部に長期滞在する場合は、渡航前の医療相談を推奨
渡航中:
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齧歯類の巣穴や死骸に近づかない
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野生動物(リス、マーモット、プレーリードッグ)に触れない
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防虫対策を徹底(ノミ刺咬防止)
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ペットに対するノミ駆除を継続
帰国後:
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常在地域からの帰国後7日以内に急性の発熱と有痛性リンパ節腫脹が出現した場合は、直ちに医療機関を受診し渡航歴を伝えること
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咳嗽と血痰を伴う急性発熱は緊急事態として対応すべきである
どのくらい一般的?
統計と地理データ
疫学
ペストは世界中に自然疫源地が存在し、野生齧歯類とそのノミの間で循環サイクルが維持されている。
世界の発生状況:
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WHOには年間約1,000〜2,000例が報告(過小報告あり)
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症例の95%以上がアフリカで発生(マダガスカル、コンゴ民主共和国が大部分)
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2010〜2015年に3,248例の死亡が報告(CFR約8.4%)
主要常在地域:
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マダガスカル: 世界の報告症例の50%以上。腺ペストと肺ペストの両方が常在。2017年に2,417例の大流行(肺ペスト1,792例を含む)
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コンゴ民主共和国: イトゥリ州で年間数百例
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ペルー: 年間数十例、北部アンデス地域
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米国: 年間1〜17例。ニューメキシコ州が最多。CFR約11%
歴史的パンデミック:
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ユスティニアヌスのペスト(541〜750年): 推定2,500万〜5,000万人が死亡
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黒死病(1346〜1353年): ヨーロッパ人口の約3分の1(2,500万人)が死亡
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第三次パンデミック(1855年〜): 中国・インドを中心に1,200万人以上が死亡
傾向: 報告症例数は減少傾向にあるが、散発的なアウトブレイクは継続しており、気候変動による齧歯類の分布変化が懸念されている。
リスク要因
リスクが最も高い人
リスク因子
環境・行動リスク因子:
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常在地域の農村部居住 — 齧歯類やノミとの接触機会が多い
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齧歯類との直接接触 — 狩猟、食肉処理、死骸の取り扱い
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ペットの管理不良 — 猫はペストに感受性が高く、感染した齧歯類を持ち込むことがある
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野外活動 — キャンプ、ハイキング(特に齧歯類の巣穴周辺)
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劣悪な衛生環境 — 齧歯類が多い環境、ゴミの不適切な管理
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職業的曝露 — 獣医、齧歯類研究者、検査室従事者
ヒト-ヒト伝播のリスク因子(肺ペスト):
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肺ペスト患者との2メートル以内の濃厚接触
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咳嗽飛沫への曝露
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医療従事者(適切なPPEなしの場合)
重症化のリスク因子:
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治療の遅れ — 最も重要な致死的転帰の予測因子
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免疫不全 — HIV/AIDS、免疫抑制療法
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年齢 — 小児と高齢者
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併存疾患 — 糖尿病、慢性肺疾患
注意: 一般的な旅行者のリスクは非常に低いが、常在地域の農村部で齧歯類との接触がある場合はリスクを認識すべきである。
合併症の詳細
合併症の可能性
合併症
ペストの合併症は疾患の急速な進行と高い致死率に直結する。
腺ペストの合併症:
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二次性敗血症ペスト: 未治療腺ペストの10〜20%で菌血症が進行し、敗血症性ショック、DIC、多臓器不全を引き起こす
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二次性肺ペスト: 血行性に肺へ播種し、二次性肺ペストを発症。ヒト-ヒト伝播の原因となる
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化膿性横痃: 膿瘍形成を伴い、自然破裂やドレナージを要する場合あり
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ペスト性髄膜炎: 稀だが、不適切な抗菌薬治療後にCNS移行性の低い薬剤では発症リスクあり
敗血症ペストの合併症:
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播種性血管内凝固(DIC): 広範な皮膚紫斑、壊疽(特に末梢の指趾)
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多臓器不全: 腎不全、肝不全、ARDS
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壊疽: 四肢末端の壊疽(「黒死病」の由来)は切断を要する場合あり
肺ペストの合併症:
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
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呼吸不全 — 人工呼吸管理を要する
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敗血症性ショック
長期後遺症: 治療により回復した場合、大部分の患者は後遺症なく完全回復する。壊疽を伴った場合は四肢切断が必要となることがある。
回復と見通し
予想される結果と回復
予後
ペストの予後は、病型、治療開始の迅速さ、および患者の全身状態に大きく依存する。
治療あり:
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腺ペスト: 適切な抗菌薬治療(症状発症後24時間以内に開始)でCFRは**1〜5%**に低下
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敗血症ペスト: 早期治療でもCFRは15〜20%。治療が遅れると急速に上昇
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肺ペスト: 発症後18〜24時間以内の治療開始でCFRは約**30〜50%**に改善。治療が遅れるとほぼ致死的
未治療:
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腺ペスト: CFR 30〜60%。約10〜20%が敗血症ペストに進行
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敗血症ペスト: CFRほぼ100%
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肺ペスト: CFRほぼ100%。発症から3〜5日以内に死亡
予後に影響する因子:
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治療開始までの時間 — 最も重要な予後因子
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病型 — 肺ペストと敗血症ペストは腺ペストより予後不良
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年齢 — 小児と高齢者は予後が悪い
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併存疾患 — 免疫不全、糖尿病は転帰を悪化させる
回復: 適切な治療を受けた腺ペスト患者の大部分は後遺症なく完全回復する。
