MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹混合)ワクチンは、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、風疹ウイルスの3種の弱毒生ウイルスを含む混合ワクチンである。海外ではM-M-R II(Merck)、Priorix(GSK)が広く使用されている。 **日本におけるMMRワクチンの歴史と現状:** 日本では1989年にMMRワクチン(統一株MMRワクチン)が定期接種に導入されたが、ムンプス成分(占部株)による無菌性髄膜炎の多発(約1,200人に1人)が問題となり、1993年4月に定期接種からの使用中止に至った。これは日本のワクチン政策において重大な転換点であり、その後の「ワクチンギャップ」(海外で使用されているワクチンが日本では使用できない状況)の一因となった。 **現在の日本の対応:** 現在、日本ではMMRワクチンに代わり、MR(麻疹・風疹混合)ワクチン(ミールビック、KMバイオロジクス)が定期接種(A類疾病)として使用されている。おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは単独の任意接種として別途接種が推奨されている。 海外渡航者が現地でMMRワクチンを接種する場合や、輸入ワクチンとして
MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹混合)ワクチンは、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、風疹ウイルスの3種の弱毒生ウイルスを含む混合ワクチンである。海外ではM-M-R II(Merck)、Priorix(GSK)が広く使用されている。
日本におけるMMRワクチンの歴史と現状: 日本では1989年にMMRワクチン(統一株MMRワクチン)が定期接種に導入されたが、ムンプス成分(占部株)による無菌性髄膜炎の多発(約1,200人に1人)が問題となり、1993年4月に定期接種からの使用中止に至った。これは日本のワクチン政策において重大な転換点であり、その後の「ワクチンギャップ」(海外で使用されているワクチンが日本では使用できない状況)の一因となった。
現在の日本の対応: 現在、日本ではMMRワクチンに代わり、MR(麻疹・風疹混合)ワクチン(ミールビック、KMバイオロジクス)が定期接種(A類疾病)として使用されている。おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは単独の任意接種として別途接種が推奨されている。
海外渡航者が現地でMMRワクチンを接種する場合や、輸入ワクチンとしてMMRを接種する場合がある。現行の海外製MMRワクチンに使用されているJeryl Lynn株(Merck)のムンプス成分では、無菌性髄膜炎のリスクは極めて低い(約10万人に1人以下)。
日本のMRワクチン定期接種:
第1期:生後12〜24か月(1歳の誕生日後に速やかに)
第2期:5〜7歳未満(小学校就学前1年間)
おたふくかぜワクチン(任意接種、別途):
1回目:1歳(MRワクチンと同時接種可能)
2回目:就学前(MR第2期と同時接種可能)
海外でのMMRワクチンの適応:
麻疹、おたふくかぜ、風疹の免疫を有しない全ての者
特に渡航前に3疾患全ての免疫確認が推奨される
海外留学者(多くの国でMMR2回接種の証明が求められる)
成人への推奨:
麻疹・風疹の抗体価が不十分な場合はMRワクチンの追加接種
特に1990年以降生まれの世代は2回接種歴の確認が重要
妊娠を希望する女性の風疹抗体検査と必要に応じたワクチン接種(妊娠前に)
2018〜2019年の風疹流行を受けて、1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性に風疹抗体検査・MRワクチン接種の無料クーポン事業が実施されている
禁忌:
重篤な免疫不全状態(先天性免疫不全症、HIV感染でCD4<15%または<200/μL、免疫抑制療法中)
妊婦(弱毒生ワクチン。接種後4週間は妊娠を避ける)
本ワクチンの成分(ゼラチン、ネオマイシン、鶏卵由来成分等)に対する重篤なアレルギー反応の既往
過去の同ワクチン接種時にアナフィラキシーを呈した者
慎重接種:
発熱中の者
鶏卵アレルギー:MR/MMRワクチンの麻疹・ムンプス成分はニワトリ胚繊維芽細胞で培養されるが、卵白成分の残存量は極めて少ない。鶏卵アレルギーはMR/MMRワクチン接種の禁忌ではない(アナフィラキシーの既往がある場合を除く)
けいれんの既往がある者(特に熱性けいれん)
血小板減少症の既往:MR/MMRワクチン接種後に一過性の血小板減少が報告されている
免疫グロブリン投与後の接種間隔:
MRワクチンの副反応:
一般的(1〜10%):
発熱(37.5℃以上:接種後5〜14日に約20%、38.5℃以上は約13%)
発疹(接種後7〜14日に約3〜5%、軽度で一過性)
接種部位の発赤・腫脹
まれ(0.01〜1%):
関節痛・関節炎(風疹成分による、成人女性に多い:約25%)
リンパ節腫脹
耳下腺腫脹(ムンプス成分がない MRワクチンでは起こらない)
極めてまれ(<0.01%):
熱性けいれん(約1/3,000接種)
血小板減少性紫斑病(約1/25,000接種)
アナフィラキシー
脳炎・脳症(約1/100万接種、因果関係は明確でない場合がある)
MMRワクチン(海外製)の追加副反応:
無菌性髄膜炎:Jeryl Lynn株では約1/10万(占部株使用時は約1/1,200で、日本でのMMR中止の原因となった)
耳下腺腫脹(2〜3%)
精巣炎(極めてまれ)
日本承認製剤(MRワクチン):
海外承認製剤(MMRワクチン):
M-M-R II(Merck):麻疹(Edmonston株)・おたふくかぜ(Jeryl Lynn株)・風疹(Wistar RA 27/3株)
Priorix(GSK):麻疹(Schwarz株)・おたふくかぜ(RIT 4385株)・風疹(Wistar RA 27/3株)
接種方法: 皮下注射(日本標準)、筋肉内注射(海外標準)
定期接種スケジュール(日本、MRワクチン):
第1期:生後12〜24か月に1回
第2期:小学校就学前1年間に1回
渡航者・留学者(MMR接種歴なし):
MRワクチン2回接種歴がある場合は基本的に十分
おたふくかぜの免疫も必要な場合は、ムンプスワクチンの単独接種を追加
海外でのMMRワクチン接種も選択肢の一つ
費用: MRワクチン定期接種は公費負担。任意接種は自己負担(約8,000〜12,000円/回)。
MRワクチン(麻疹成分)の有効性:
1回接種後の麻疹抗体陽転率:約95%
2回接種後:約99%以上
麻疹流行時のワクチン有効率(VE):1回接種で約93%、2回接種で約97%
MRワクチン(風疹成分)の有効性:
1回接種後の風疹抗体陽転率:約95%以上
2回接種後:ほぼ100%
先天性風疹症候群(CRS)の予防には集団接種率85%以上が必要
MMRワクチン(おたふくかぜ成分含む、海外データ):
ムンプス1回接種後の有効率:約78%(49〜92%)
ムンプス2回接種後の有効率:約88%(66〜95%)
2回接種でも十分な集団免疫が得られにくく、大学キャンパスでのアウトブレイクが報告されている
持続期間:
麻疹・風疹:2回接種後の防御は生涯持続すると考えられている
おたふくかぜ:免疫は時間経過とともに減衰する傾向があり、接種後10〜15年で有効率が低下
日本のMRワクチンプログラムの成果:
麻疹:2015年にWHO排除認定。2回接種率95%以上を維持
風疹:2020年のオリンピックに向けた風疹排除目標。2018〜2019年の流行を受けて追加対策を実施中
他のワクチンとの同時接種:
MRワクチンは水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンとの同時接種が推奨される(定期接種スケジュール)
不活化ワクチン(DPT-IPV、B型肝炎、ヒブ、PCV13、日本脳炎等)との同時接種も可能
他の生ワクチンとの同時接種は可能だが、同時接種しない場合は4週間以上の間隔
黄熱ワクチンとの同時接種は可能だが、同時接種しない場合は4週間以上の間隔
薬剤との相互作用:
免疫グロブリン製剤・輸血:投与後は生ワクチンの免疫応答が阻害される。MR/MMRワクチンは免疫グロブリン投与後3〜11か月(製剤・用量による)経過してから接種
免疫抑制剤:生ワクチンのため禁忌。治療終了後一定期間(一般にコルチコステロイド中止後1か月、その他の免疫抑制剤中止後3か月以上)経過後に接種
抗ウイルス薬(アシクロビル等):水痘ワクチンとの同時接種時にアシクロビルがワクチン株に影響する可能性。MR/MMR自体への影響は臨床的に問題ない
Pregnancy: CONTRAINDICATED — live vaccine.
MMR vaccine is a live attenuated vaccine and is contraindicated during pregnancy.
Women should avoid conception for 4 weeks after MMR vaccination.
Inadvertent vaccination during pregnancy is NOT an indication for termination — no cases of congenital rubella syndrome have been reported following inadvertent vaccination of pregnant women (CDC, WHO).
Pre-conception: check rubella immunity (anti-rubella IgG) and vaccinate non-immune women before pregnancy.
Post-partum: vaccinate rubella-seronegative women before hospital discharge.
Breastfeeding: Safe.
MMR vaccine is safe during breastfeeding. Rubella vaccine virus may be excreted in breast milk and transmitted to the infant, but this does not cause disease and is not a reason to defer vaccination. CDC and WHO recommend post-partum MMR for susceptible breastfeeding mothers.
Pediatric use:
Routine schedule: Dose 1 at 12–15 months, Dose 2 at 4–6 years.
Minimum age: 6 months (for international travel to measles-endemic areas — counts as dose 0; repeat standard 2-dose series from 12 months).
HIV-positive children with CD4 ≥15% should receive MMR (recommendation from WHO and ACIP).
Available as MMR (M-M-R II, Priorix) or MMRV (ProQuad — includes varicella; approved from 12 months to 12 years).
MMRV at dose 1: slightly increased risk of febrile seizures (1 extra per 2,300–2,600 doses) compared to separate MMR + V.
Geriatric use:
Adults born before 1957 are generally considered immune to measles and mumps (through natural infection).
However, serological testing may be warranted for healthcare workers or travelers regardless of birth year.
No upper age limit for MMR vaccination in susceptible adults.
Immune response is adequate in healthy elderly adults. Live vaccine caution applies to severely immunocompromised elderly.
妊娠に関する注意:
MR/MMRワクチンは弱毒生ワクチンのため、妊婦への接種は禁忌
接種後4週間は確実な避妊を行う(以前は8週間だったが、CDCにより4週間に短縮)
妊娠を希望する女性は、妊娠前に風疹抗体価を確認し、必要に応じてMRワクチンを接種
万が一、妊娠中に接種した場合でも、先天性風疹症候群(CRS)の発生は報告されておらず、中絶の適応にはならない
日本の風疹対策(第5期定期接種):
2018〜2019年の風疹流行を受けて、1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性に無料の風疹抗体検査・MRワクチン接種が提供されている(2025年3月末まで延長)
この世代の男性は、学校での風疹予防接種の機会がなかった世代
接種後の注意:
接種後5〜14日目に発熱・発疹が出現する場合がある(ワクチンウイルスの増殖による正常な免疫応答)
解熱剤の使用可能。自然軽快する
2回目の接種後は副反応の頻度が低い傾向がある
| 回目 | ブランド | 前回からの日数 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| 回目 1 | M-M-R II | — | 1 年+ (max: 1 年) |
| 回目 1 | Priorix | — | 1 年+ (max: 1 年) |
| 回目 2 | M-M-R II | 1095d | 4 年+ (max: 6 年) |
| 回目 2 | Priorix | 1095d | 4 年+ (max: 6 年) |
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